海外テレビ局のIdentを見る

テレビ局が自身を端的に表す短い映像作品、Identを紹介しています

ポーランド・TVP1 Reklama

https://www.tvp.pl/:ポーランド・テレビ(Telewizja Polska SA)は1935年に開局したポーランドの公共放送局です。

TVP1は1952年に放送を開始しました。公共ではありますがスポンサーによるCMも流れています。

 

これは2010年のIdentを集めた動画です。局名であるTVP1の他にReklamaという単語が付いており非常に気になりました。

 

Reklamaは広告という意味で、コマーシャル枠の前後および途中に挿入されるIdentに使用されていることを知りました。

 

1998年のものです。ドラマの放送後挿入されるCMにReklamaが挟まれています。

 

2021年のドラマ終了時のIdentです。直後にニュース番組が始まるのでReklamaとは表記されません。

 

同じく2021年の動画ですが、この部分はCMではなくスポンサー枠の紹介のためかReklamaとは表記されていません。

日本のテレビの場合は提供アナウンスと企業ロゴが表示されるのに対して海外ではCMに近い企業独自の短い映像が流れる印象があります。

 

こちらも2021年の動画です。

歌番組の終了→スポンサー紹介x4→Reklama(開始)→通常のCM→Reklama(終了)→次番組という流れで進行しています。

 

遡って1994年の動画です。ここでは局名表示すらなく単にReklamaとだけ表記されています。最後のコカ・コーラの映像はスポンサー枠扱いとのことです。

 

Reklamaという区切り方はポーランド独自のものなのか、他国にもあるのか今後も調べていきたいと思います。

タイ・Channel 3

Channel 3は1970年にタイで初めて設立された民間放送局(らしい)です。
とはいえ設立者が陸軍元帥というのはあまり普通じゃないかもしれません。


1988年のIdentです。


2017年のIdentです。デジタル化で実際のチャンネルが変更されたため33の数字が挿入されています。



2010年と2020年の創立40年および50周年記念Identです。

70年代のIdentは見つけられませんでしたが、局のロゴとサウンドロゴがCGなどの変化はありつつもどちらもずっと同じものが使われているのが印象的です。

番外・イギリスの公共広告4 狂犬病

テレビが普及するより前に野良犬とともに根絶され海を隔てた他国との人の移動も少なかった日本と違い、イギリスでは狂犬病に関するPIFがいくつも制作されました。
狂犬病は英語でRabiesと表記します。


犬に触れたあとの手洗いを奨励するPIFです。手洗い自体は当然のことではありますが、そこに狂犬病が結び付くのは異様な感があります。



野良犬に不用意に触れることの危険性や実際に狂犬病に罹った犬が現れた時の隔離や捕獲の様子が映っています。


夫人がカバンに隠した猫が空港検疫で見つかってしまう様子に狂犬病に冒された人の映像と不快な音がサブリミナル的に挿入され、最後にRabies Means Deathという文字とともにドクロが映るという特にショッキングなPIFです。

のちにイギリスでは狂犬病は根絶され野良犬もいなくなりました。

番外・イギリスの公共広告3 放送終了前

過去のBBCでは一日の最後の番組と天気予報のあと、放送終了のアナウンスの直前にPIFが流されることがほぼ定番化していたようです。


ゴミをポイ捨てすると大きな音が出て目立ってしまう、環境美化を訴えたややコミカル寄りのPIFです。
映像の終わりにアナウンサーの生声が入るところらIdentに通じるものがあります。


不注意で火が服に付いてしまい亡くなってしまう老人が多いことを示したPIFです。


島国であり大型トラックドライバーがそのまま国を越えることもなく、狂犬病も根絶された日本ではあまりピンとこないかもしれません。
一方イギリスでは狂犬病は危険な存在であり、他にも複数のPIFが制作されています。

番外・イギリスの公共広告2

ショッキングなものの一方でPIFには歌やアニメーションを使った和やかなシリーズもあり、当時を知る人にとっては恐怖を煽られつつも昔を懐かしむ一つの思い出に、
知らない人も時代がかった感じが癖になるのか日本の公共広告機構や放送番組センターと同じように愛好家がいたりするようです。


寝る前の火の始末についてコミカルに歌ったPIFです。今も口ずさめる人がいるらしいです。


Joe and Petuniaというアニメーションのシリーズで、海の事故が発生した際の沿岸警備隊への連絡方法ダイヤル999を伝えています。


Charley Saysという猫と少年のアニメーションで、6作品が制作されました。特に思い出に残っている人が多いようで、2006年に行われたPIFの人気投票で見事1位になっています。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/magazine/4853042.stm

番外・イギリスの公共広告1

イギリスでは映像を伴う公共広告のことをPublic Information Film(PIF)と呼び、最も有名なものに核戦争が起きた時の対応についての説明をしたProtect and Surviveがあります。テレビでは1960年代から制作、放送されてきました。

代表的なPIFの制作者はCentral Office of Information(COI)という組織によるもので、半世紀近くに渡り子供をトラウマに陥れてきました。
それらはかなり低予算でチープ、かつかなり直接的に内容を伝えるようなものとなっており、広告でありつつもB級のホラーやスプラッター映画にも通じるようなものが多いです。


これはLonely Waterというタイトルで、動画を検索すると大抵トップに出るほど代表的なPIFです。
この頃は川遊びしていた子供の事故が多発していたのかもしれません。


Play Safeというシリーズの一部で、変電所に飛ばしてしまったフリスビーを取ろうとした子供が感電死してしまうというショッキングなPIFです。

この2つでも分かるように、当時のPIFは子供の安全が主なテーマだったようで実際に子供向け番組の時に狙って流されることも多かったようです。

イギリス・ITV night time

night timeはITVの深夜帯で80年代から2000年代初頭まで用いられていた枠の名称で、日本で言うところのJOCX Midnightに当たります。


90年代後半のIdentです。ITVの文字すらなく、昼間のものと全く違い蛍光色に塗りたくられた人が踊る様子がなかなか気持ち悪いです。


ほぼ全てのIdentをまとめた動画もありました。
落ち着いた雰囲気だったはずが年を追うごとに派手になっていく様子がわかります。

深夜帯のテレビはご多分に漏れず、CM枠も埋まりにくくPIF(日本で言う公共広告)や自社による宣伝が多く流されていたようです。
PIFについては非常に興味深い内容なので別口で取り上げようと思います。